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財務諸表分析

業績傾向の把握方法

月次決算書には会社の1か月分の業績が集計されています。会計担当者はその月の会社の資産状況と損益状況の良否が一目で把握できるよう、その経営データをできるだけわかりやすく正確に経営者に伝えることが必要です。

会社の売上と利益は、それぞれ持っている性質が全く違います。会社は資金が無くなると倒産するので、資金の源泉である利益を見逃すと、あっという間に倒産の危機に瀕することがあります。
例えば黒字倒産、赤字拡大、過大投資、資金枯渇、多角化失敗、など等、経営の失敗原因を辿ると、利益の見落としに行きつくケースがあります。月次決算書の内容確認を怠らないことが、利益を見落とさない秘訣です。会計担当者は、顧問先の経営状況を説明する際、まず第一に、顧問先の損益の傾向を総括することが重要となります。



損益計算書(P/L)からみる経営判断

(1)P/Lの読み方

P/Lは経営成績を示すものなので、どのくらいの金額が黒字なのか、赤字なのかが当期のP/Lを見ればわかります。売上高を100%とした場合の利益率を計算すれば、各種の利益率がわかり、収益性の比較が容易にできます。
P/Lの前期との変化から経営状態を判断すると、一般的に以下のようになります。
減収減益が続けば、倒産の可能性は高くなる。+は前年比増加、△は前年比減少を表示しています。


(2)P/Lによる経営判断

良好  ←  →  悪化

経営状態 健全経営
(増収増益)
新規事業立上
(増収減益)
リストラ
(減収増益)
ジリ貧経営
(減収減益)
売上高
経常利益

貸借対照表(B/S)からみる経営判断

(1)B/Sの読み方

●健全経営 → 黒字で資本の部が充足されている状態
●損失の填補 → 赤字になり、今まで積み上げてきた資本剰余金を取り崩した状態
●資本の欠損 → さらに赤字が続くと資本準備金や資本金を充当する必要あり
●債務超過 → 「資産<負債」の状態 ⇒ 中小企業の場合、準倒産ともいえます


(2)B/Sによる経営判断例
当期未処分利益の金額により経営状態を示すと以下の様になります。

良好  ←  →  悪化

(単位:百万円)

経営状態 健全経営 損失の補填 資本の欠損 債務超過
当期未処分利益 100 △100 △500 △1,100
資本金等 1,000 1,000 1,000 1,000
利益剰余金 +100 △100 △500 △1,100
純資産合計 1,100 900 500 △100
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